Professional Coach 大野裕之

コーチングセミナー講師の独り言 3

更新日: 2019年6月7日

 コーチングセミナー講師をさせて頂き、様々な人との出会いがあり、そこで伺う色々なお話。それらの一つひとつが私に新たな刺激とコーチングの可能性を再認識させてくれます。私の気持ちを動かしてくれたお話をご紹介させて頂くのが「コーチングセミナー講師の独り言」です。

 最近と言っても少し前になりますが 、コーチングに関る者として気になるニュースが二つありました。一つは所謂パワハラ防止法が国会で可決されたという話です。罰則こそないものの、これによりパワハラは違法行為という事になります。ネット等では、これを言ったらアウト!ここまではどうなの?等色々な記事や投稿が出ています。

 もう一つは、リクルートさんから毎年この時期に発表になる「新入社員意識調査」の結果です。どのような職場で働きたいか?上司に期待することは?という内容等を今年の新入社員に調査するものです。

 この二つのニュースはほぼ同時期に発表されました。そして何か関連性のようなものを感じてしまいました。

 パワハラと聞くと、管理職の方は多少敏感になると思います。しかし注意をしていれば、あまり直接的には関係ないものであると考えているのではないでしょうか。過去の私もそうでした。実際に出来ていたかは別として、相手の立場になって考えることが大事で、そこを怠らなければ大丈夫だろうと考えておりました。

 それは今でもその通りだと思います。しかし「相手の立場」になって考えるとき、どこまでそれを理解できているのでしょうか?

 「新入社員意識調査」の結果を見て、その理解の自信が少し揺らぎました。少しだけ内容を紹介させて頂きます。まず「どのような特徴のある職場で働きたいですか?」と言いう質問に対して、1位は「お互い助け合う職場」でここ5年間でも上昇傾向にあります。その他にも「アットホーム」、「お互いの個性を尊重する」、「遠慮せずに意見が言い合える」等の内容が上位を占め近年上昇もしています。一方「活気がある」、「皆が一つの目標を共有している」、「お互いに鍛え合う」といった項目は近年減少傾向にあります。

 また、「上司に期待することは何ですか?」といった質問では、1位は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」で、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」、「よいこと・良い仕事を褒める事」等が上昇傾向にあり、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」、「仕事に情熱を持って取り組むこと」、「周囲を引っ張るリーダーシップ」といった項目が減少傾向にあります。

 これらの傾向は近年変わらない事だそうです。部下や後輩を思ってしていたつもりの事は、果たして彼らが望んでいたことなのだろうか。自分がその立場で望んでいたことが、今の新入社員たちが望んでいることなのだろうか。それらの事をもう一度よく考えなければならないと思いました。そしてその観点を持ってパワハラとは何ぞやを考えなければならないという事に改めて気づきました。

 それと同時に、このように価値観が多様である時代であればこそ、「コーチング」の可能性にもっと光を当てる必要があるのではとも考えました。指示・命令ももちろん必要です。でもそれだけでは解決できないコミュニケーションの手段として「コーチング」の必要性を、意識調査の結果が語っていると強く思いました。

 皆さんも気付かぬうちに「パワハラ上司」になる危険性について考えてみては如何ですか。


https://www.motivation-communication.com/d_listen/0106/

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