シンプルな提案の組み立て方 プレゼン編 3
シンプルな提案の組み立て方プレゼン編です。プレゼンを行うときの状況に合わせて、提案を「フレームワーク」でシンプルに組み立てていきます。今回はその第3回目で、それぞれのフレームの特徴を比較してみましょう。
提案方法 | 特徴 | ニーズを提案者が理解 | ニーズを提案相手が自覚 | 複数のニーズに対応 | プレゼン時間 |
S.D.S | 簡略型 | △ | △ | △ | 短~長 |
P.R.E.P | 説得型 | 必要 | 必要or不要 | △ | 中 |
S.D.S- P.R.E.P | 網羅型 | 必要or不要 | △or不要 | 対応 | 長 |
F.A.B | 提案型 | 必要 | 必要 | 不適 | 短~中 |
B.A.F | 解決型 | 必要 | 必要 | 不適 | 短~中 |
上記の表をご覧ください。
S.D.Sはその構造が簡単であるため、提案者の組み立て次第ではどうにでもなるところがあり、ニーズとの関係性や提案時間等にあまり得意性はありません。非常に応用が利きますが、反面状況による得手不得手がない分テーマへのフォーカスに欠けることも考えられます。そう考えますと、内容が多く長い時間をかけて行うものは難しいという事も考えられます。結果報告や途中経過について簡単に説明するようなときには適しています。
P.R.E.Pは説得型と考えます。と申しますのは、ニーズとの関係で考えますと、提案者はPOINTを紹介するにあたり提案相手のニーズを確定させる必要があります。もしその作業がなければ的外れな提案となってしまいます。その際に提案相手がそのニーズに対する自覚があれば良いですが、仮に無くてもP.R.E.Pの場合は成立させることが出来ます。それはPOINTに続くREASONとEXAMPLEによってそのニーズの存在に気付いて貰うことが可能であるからです。つまり「今のあなたにはこのようなことが必要です。なぜなら・・・。そのためには・・・。例えば・・・。」という流れのように、POINTを確定させれば説得力を持った提案が展開できます。しかし反面、もしPOINTがずれている場合、或いは同意を得られなかった場合は、提案力は弱いものになってしまう事も考えられます。またPOINTを絞りますので複数のニーズが存在するような状況であると、時間をかけてその全てを説得するか、最大公約数的なニーズに的を絞って展開することになります。逆に提案相手がニーズを良く自覚している場合は、このフレームは多少くどいと感じるかもしれません。
S.D.S-P.R.E.Pは網羅型です。これは、例えば講演会の組み立てや製品の総合パンフレットの形式によく使われます。「たくさん伝えたい事があります。その全てを一つ一つ丁寧にお伝えいたします」という形式ですので、提案者からすれば「やり切った感」の強い形式です。この形式の最大の特徴はすべてを紹介するというスタンスですので、提案者も提案相手もニーズを理解していなくとも成立させることが出来るという点です。すべての特徴、特性を紹介し「何かあなたに合ったものがあるのでは?」とも取れる方法ですので、ニーズが複数存在するときにはその効力を発揮します。しかしその構造故、非常に時間を要します。またニーズの自覚のある人にとっては、大部分は関係ない話になってしまう為とても退屈なものになり、結果的にインパクトに欠けることにもなりかねません。
F.A.Bはまさに直接的な提案型です。提案者と提案相手がニーズの一致をみると非常に強い効力を発揮します。営業マンがよく用いるフレームです。直接的であるため時間もそれほど必要としません。提案の特徴が最終的にそのニーズを解決させるという流れになっていますので、提案相手のニーズに対する思いが強いほど成功率が上がります。ですから提案前のニーズの掘り起こしから顕在化といったところが非常に重要になってきます。この部分が曖昧ですと効力は不十分になります。また提案の特徴から話が始まりますので、提案者の手前味噌と捉われてしまう場合も考えられます。もちろん複数のニーズには対応できません。
B.A.FはF.A.Bの流れを逆にしたものですので、その特徴も多くは重なります。異なる点だけ申し上げますと、F.A.Bがその提案の特徴から始まるのに対して、B.A.Fは提案相手が手にする具体的な利益から始まります。提案相手からするとその提案を採用したときの状況から先に話されるので、解決までの流れが自分目線でイメージを作りやすく、提案者はニーズに対する思いを増幅させながら提案を展開することが可能です。簡単に申し上げますとF.A.Bは提案者側から、B.A.Fは提案相手側からの話の展開となるわけです。そのことによりニーズの増幅以外にも、提案者の手前味噌の感も薄れます。F.A.Bをもう一歩進めたものがB.A.Fであるとも考えられます。
如何でしたでしょうか。プレゼンテーションを構成するときにこれらのフレームの構造と特徴をよく理解されていれば、そのプレゼンの目的や状況によってどのフレームが最適であるか選択し、それに従って構成することによって、提案相手によく伝わる提案が可能となってきます。ぜひお試しいただければ幸いです。