Professional Coach 大野裕之

シンプルな提案の組み立て方 実践編 対面の場合5

更新日: 2019年4月24日

「提案相手」と対面の状態で、どのようにして提案をしていくのか。それは「満足」「問題」「期待」「不安」の4つの要素で考えシンプルに組み立てます。提案術の実践編 対面の場合の第5回目です。

 前回まで2回にわたって「満足」の取り扱いについて話を進めてきましたが、今回は「問題」について進めて参ります。以前にもお話しさせて頂いたように「満足」の取り扱いが難しいのに対して、この「問題」の取り扱いはさして複雑ではありません。なぜなら「問題」は解決策を示すことが直接「期待」へと繋がるからです。なのでこの「問題」を明確化することは「提案」の承認には欠かせない準備になります。

 ここで言う「問題」とは、解決しなければならない重大な「問題」だけではありません。もちろんそのような明白な「問題」があれば、その解決策を提示する「提案」はよりパワフルなものになります。しかし常にそのような重大な「問題」が存在するとは限りません。

 「問題」は以下のように考えてください。
     「現状」と「理想・願望」の間に存在するギャップ
理想を言えば、「もっと楽にできたら良いな」「もっとわかりやすいと良いな」「早い方が嬉しいかな」「もう少し安いと助かるな」等、そのようなものは全て「問題」として考えます。そしてそれらの解決は、提案内容にパワーを与える大切な素材となります。

 「問題」は 「現状」と「理想・願望」の間に存在するギャップ だとするならば、「問題」の明確化に必要となってくるのは、「現状」と「理想・願望」の聞き出しになってきます。「現状」とその「評価」を聞き出す中で、「評価」が満点でない場合、その内容を明らかにすれば「問題」の明確化になります。あるいは「理想・願望」を直接聞くことによって、ギャップを実感してもらう事も明確化になるでしょう。

 一番大事なのは、「提案相手」本人に「このことは出来れば解決したいな」という思いを抱いて貰う事です。解決したいという欲求は、解決策への「期待」に繋がります。つまり「提案」を聞く準備が出来てくるという事です。

 「問題」あるいは 「満足」から見つかった「問題」のタネも含めて、「提案相手」にそのことが解決できた時のイメージを抱かせるところまで進められたら、完璧な準備と言えるでしょう。

 注意しなければならない点もあります。「問題」の存在は「提案」においてパワーのある存在であるが故、「提案者」が意図的に「問題」を作り上げてしまうことが間々あります。そのような場合は、「提案相手」からすると「誘導されているのではないか」という思いに繋がり、一気に「期待」は「不安」へと転換していく事もあります。目的は「提案相手」が「問題」の存在を実感することであって、「提案者」が明示し押し付けることではありません。

 今回まで3回にわたり「提案相手」の「現状」とその「評価」の分析について話を進めて参りました。これらは対面型の「提案」するにあたり、とても大事な準備になります。では一度ここまでの作業を整理してみましょう。

1.「提案者」は「提案相手」に「現状」とその「評価」について質問します。そこで「評価」「満足」「問題」に分類します。

2.「満足」については
 ①「満足」に存在する潜在的な「問題」のタネを自覚してもらう。
 ②「提案内容」実施後も継続あるいは増大する「満足」を明示する。
の作業をします。①は質問 のスキルをうまく使い「問題」のタネを自覚してもらい、②は「満足」の中から次の二つに当てはまるものを整理しておき
  aそのまま継続できるもの
  b消失・減少・変更が必要となるもの
bに関しては、同じ目的あるいは似たようなもので「提案内容」の存在するものを準備しておきます。

3.「問題」を明確化する。

 この3つのステップで、現在
・「満足」から見つかった「問題」のタネ
・「満足」から「期待」につながるもの
・明確化された「問題」
が手に入ったはずです。もちろんすべて手に入るとは限りませんが、いくつかは手に入ります。これらの要素を入門編でもお話しした、「期待」の増幅と「不安」の減少へと繋げていきます。

 次回から実際に組み立てていきましょう。


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