シンプルな提案の組み立て方 入門編2
提案を「期待」と「不安」の二つの要素で考えシンプルに組み立てる「提案術」入門編、その第2回目です。
今回は「期待」と「不安」についてもう少し詳しく考えてみましょう。
提案相手は提案を「期待」と「不安」という判断基準を使って話を聞いています。例えば、「問題が解決されるかもしれない」「より効果が上がるかもしれない」「楽になるかもしれない」「新しい何かが・・・」等の期待感と、「リスクが上がるのでは」「費用が高くつく」「変更が煩雑」「そもそも今の儘で問題ないのに・・・」等の不安感、そのどちらかあるいは両方を抱きながら聞いているわけです。そして「期待」が「不安」を凌駕出来ればその提案は承認され、出来なければ却下されるという事でした。
では提案者はそのことをどれくらい意識をして提案しているのでしょうか?
何人かの方に以下の設定を用意して、提案者と提案相手に分かれ実際に提案してもらいました。今まで何度か行ってきましたが、面白いことにいつも同じような傾向が出てきます。
上司への提案
提案内容:今年度は成績が振るわなかったので、マインドセットのため年度末に決起大会を兼ねた食事会を行いたい。
そして提案後上司役の方にどんな「期待」と「不安」を持ったか伺ってみました。その後役割を入れ替えてもう一度やってみます。するといくつか面白いことが分ってきました。
1.提案相手が変わっても提案者が変わっても上司役が持つ「期待」と「不安」はいくつかに集約されていく傾向がある。
2.そして1で集約された内容は、提案者が行った提案にはあまり含まれていない。
この二つの傾向は、別のグループでやっても、また設定を変えてみても変わらずに現れる傾向です。それであれば、おそらく本当の上司に同じ内容の提案をしても、同じ「期待」と「不安」を持ち、その内容が提案にはあまり触れられていないのではないでしょうか。
1の結果から分かることは、提案内容が同じであれば、提案相手の立場でその提案を聞いてみることによって、「期待」と「不安」は集約される、つまり提案前に「期待」と「不安」は予想することは可能であるという事です。
にもかかわらず、2の結果にあるように実際に行った提案にはその「期待」や「不安」そのものに関わる話はあまり出ていないのです。
事前に提案相手の「期待」と「不安」が予想できるのであれば、その「期待」を増幅し、「不安」を減少させる話を事前に組み立てることによって、提案はより承認されるようになるはずです。
では次回は、実際に提案の組み立て方について考えていきましょう。